2002年度 向日市一般会計歳入・歳出決算(賛成討論)

2003年9月24日 社会民主党 飛鳥井けい子
 憲法には地方自治が謳われているが、今日の政治は地方自治の本旨からかけ離れており、地方分権一括法が施行されたにもかかわらず分権自治はいっこうに進んでいない。国から地方への財源の移譲がなされていないからである。むしろそれどころか、地方に対する財政の締めつけが強められているのが現状である。
 市町村合併の大きなうねりもそのような中で起こってきていることを考えたとき、もう一度地方自治の本旨を考えなければならない。
 地方交付税法の第一条に「この法律は、地方団体が自主的にその財産を管理し、及び行政を執行する権能をそこなわずに、その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする」と謳われている。そして、第三条に「財政需要額が財政収入額をこえる地方団体に対し、衡平にその超過額を補填することを目途として交付しなければならない。」と規定している。このことを力づくでねじ曲げて三位一体改革を叫び、地方への負担転嫁を加速しているのが小泉政権であり、市民が安心して暮らしていける条件が脅かされていることに対し、我々地方自治にたずさわる者はこの流れに危機感をもって立ち上がらねばならない。国や府の言いなりでなく、自治体主権をつらぬき市民本位の市政をめざすべきである。
 雑誌「週刊ダイヤモンド」の特集「全国財政破綻度ランキング」では、全国695都市を対象に「危ない自治体」を浮き彫りにしている。
 これは2001年度決算を元に「経常収支比率」「起債制限比率」「準債務返済年数」の3項目それぞれに算出した「偏差値」の合計で、得点が高いほど財政実態は悪いことを示している。
 Aランク120点未満からEランク210点以上の格付けの中で、最悪のEランクはやはり大震災で多額の債務に苦しむ神戸市の27・4点や芦屋市の25・4点であり、反対に愛知県の刈谷市6・9点、豊田市8・4点がAランクのトップを飾っている。

 さて、我が向日市はと見ますと、京都市がDランク19・1と33番目に財政が悪化していることや、亀岡市、宮津市、八幡市、城陽市などがCランクであることに比べると、14・2点でBランクに入っており、5万4千人に近い市民が参画し、町おこしをしていけば財政再建へと努力のしがいがある市ではないかと考える。
 現在、市当局は危機感をもって「財政非常事態宣言」をしながら行財政改善にとりくみ、市役所あげてぬるま湯からの脱皮をはかっておられることと存じます。
 今後、一方的にアクションプランを発表されるのでなく、政策形成段階からの情報公開、説明責任を果たすこと、市民と議会の理解を得ることをないがしろにされると大失敗につながる可能性もありますので、民主的な市政運営を切に強く求めたいと存じます。
 キリンビ−ルや井上電気がなくなり、決して楽観できない財政状況であることを理解しますが、しかしナ−バスになって何事も休止してしまったり、荒々しい統廃合をしたりして萎縮することなく、市民サ−ビスをモット−にのびやかに笑顔の市政を進めていただきたい。ようするに一人でも泣く人があれば許しませんということを申し上げたく存じます。特に、これまでに行なってこられた きめ細やかな福祉を切り捨てては絶対にいけないと思います。重度障害者のオムツ代の支給を突然カットされた事例は先日ようやく解決しましたが、今後我々の知らないところでこっそり弱者を切り捨てないよう要請いたします。
 小泉政権は「強者の強者による強者のための政治」ですが、向日市は弱者のため「市民の市民による市民のための政治」で行政責任を果たしていただきたく存じます。

 それでは、本決算の認定にあたり若干の評価と要望を申し上げます。
 まず始めに、環境基本計画を策定されエコホ−ムプランを配付されたことを高く評価いたします。21世紀はまさに環境がキ−ワ−ドであり、このことの実践のために向日市の自然ゾ−ンあるいは文化・観光ゾ−ンの整備がぜひとも必要です。
 西ノ岡丘陵には、竹の径や寺戸大塚古墳、五塚原古墳、湯屋跡、白鳳の泉、ハリコ山、ハリコ池などすぐれた環境がそろっており、これらをつなぎふるさとの自然や観光のメッカとしてほしいものです。
 市民ウオ−キングやバ−ドウオッチング、考古学、写真、絵画、俳句、短歌などの文化芸術活動の拠点として、また、子どもたちの環境教育にハリコ山のせせらぎを利用した第2次自然公園の整備などを進めていただきたく存じます。そのためには、あいかわらずの優柔不断行政ではなく、「議会の請願採択を真摯に受けとめる」と市長は6月議会でおっしゃっていたのですからしっかり外環道路建設反対を府の再評価委員会に当市の意志として伝えるというアクションをおこし、市民の声に答えるべきと存じます。
  いまどき自然破壊をする市長など誰も支持しませんので良識を発揮していただきたく存じます。

 次に、次世代を大切にはぐくむ保育行政は、住みよい向日市の目玉商品であり、第4保育所の 建て替え、ファミリ−サポ−トセンタ−、児童虐待防止などへの取り組みを是といたします。
 今後、増々待機者のないように、また、延長保育の充実や病気あけ保育に積極的に取り組んでいただきたく存じます。
 ジェンダ−や男女平等条例についてこれない古い考え方の人も一部にあるでしょうが、若い市長は近代的な思考をもって市政運営をされるものと期待しております。

 次に、道路整備について、財政難のなか芝山地区・梅ノ木地区など9か所の改良工事を行なわれたことを高く評価いたします。
 今後「道路整備プログラム」をつくられるに当たり、より民意を反映し、バリアフリ−予算を強化し危険度の高いところから順次積極的な整備を要請します。

 次に、「からだゆがみ直し教室」や「いきいき健康クラブ」「健康ウオ−クデ−の推進」など市民の健康づくりに努力されたことを評価します。市民の中には通うのに不便な「ユメパレア」より高齢者は身近かな公民館・コミセン・福祉会館などでの長期にわたり続けられる日々のリハビリを求めておられる方もありますので岡崎市政のもと喜ばれていたのに、その後休止されてしまった事業の復活をお願いしたいと思います。

 次に、男女共同参画事業は条例もないなかで、実にアッパレと評価いたします。NPO法人SEAN(シ−ン)の代表によるジェンダ−の話「女の子・男の子にとらわれない保育とは」は好評でしたし、DV問題でウイメンズカウンセリング京都代表の井上摩耶子氏、女性の政治参画問題でスペ−スフィフティ主宰の森屋裕子氏の講演は男性にこそ聞いていただきたいすぐれた内容でありました。

 次に、世界平和都市宣言啓発事業費では立命館大学平和ミュ−ジアムでの親子平和教室に取り組まれたことを是とするものです。また、戦争の狂気が迫る今日、この向日市において「平和と人権のつどい」でスペイン映画「蝶の舌」の名作の上映があったということは人々の心に生涯忘れ得ぬ思い出となることでしょう。軍事政権から弾圧される一人の教師の人生がテ−マでした。この教師の子どもたちや美しい蝶などの自然や平和を愛する心をしっかりと学びとりながら、ひとたび戦争となれば泣きながら大衆とともにこの優しい先生に石を投げる一人の少年の苦しみを描くこの作品は人間の弱さ、もろさを見事に表現しておりました。ネオコンや新保主主義の台頭する今の日本社会に大きな警告を発したすぐれた作品であり、担当者の努力に「えらい!」と深く敬意を感じました。

 最後に本決算には賛成といたしますが、15年間も改善されていない第2向陽小学校の男女共用トイレの問題や学校給食における米飯炊飯のカマを備えすべての児童に平等に「あたたかいごはん」を農業を大切にする国の給食としてしっかり保障することを、今後、予算化されることを切に期待し討論を終わります。