2003年度一般質問
■市民のプライバシ−を侵害し、憲法に違反する
 住基ネットから離脱することについて


 8月11日の市議会の「自治体の裁量と選択権を認めることを求める意見書」が賛成多数で可決されたことを尊重する向日市政を願い質問します。

 住民基本台帳ネットワ−クの問題点として大きく3点
   〇 デジタルデ−タ−の大量収集     〇 民主主義に対する脅威
   〇 個人情報の流出(漏洩と探知) が、あげられます。
 現在は、氏名や生年月日・性別・住所など6つの本人確認情報と10省93の事務に利用されることになっておりますが、実際には、すでに264に拡大できるようになってしまっているそうで、文字や音声、画像がキ−ワ−ドを入れることによって永久に検索可能となり、盗まれると大変なことになってしまいます。
 これまでの個人情報流出事件は、
  1996年の国立がんセンタ−の4,000人の治療リスト。
  1998年のさくら銀行顧客リストや人材派遣会社の全国9万人の個人デ−タ−。
  1999年の宇治市の住民デ−タ−22万件の流出。
 これにつきましては、わずか3分でアルバイト学生にコピ−され、インタ−ネット上で売買されており、この委託業者も盗んだ人も買った「名簿屋」も何ら処罰されておらず、今も多くのコピ−が出まわっているのではないかと全市民を恐怖の中においやっています。
 その後、同じく1999年9月のNTTドコモ社員による顧客デ−タ−の売買やリソナ銀行、ロ−ソンは何と56万件のデ−タ−が売買され、あちこちで個人情報がだだ漏れに漏れ続けているわけです。
 ある「名簿屋」のホ−ムペ−ジには「1億5千万人のデ−タ−」があり、住所・氏名は1件につき3万2千円、携帯電話番号は2万8千円、銀行口座番号は4万円、預金残高は4万5千円、生命保険会社名は6万円などと料金がついています。
 驚いたのは闇金融業者の「住基番号」あさりです。新聞によりますと、この「地下社会」の恐れるべき手法は「多重債務の公務員を使えば簡単に情報が裏社会に筒抜けになるというもので、その上彼らは「ハッカ−の入れないところはない!」と豪語しているそうです。冗談ではありません!。ご存じのように先日も、世界中にハッキングが横行し、新型ウィルス「MSブラスタ−」に対応するため、世田谷区は住基ネットを停止しました。 賢明な判断であると考えます。 今後、ことあるごとに一時切断を徹夜で検討せねばならない市幹部の皆さんの苦痛が全国的に続いていき迷惑なことです。

 昨年住基ネットに対し、横浜市や東京の杉並区・中野区など6自治体445万人が離脱しました。その後、個人情報保護法が可決されましたが、例えば横浜市では84万人(人口の4分の1)が不参加です。他に、最初から不参加の自治体もあり、この8月15日、長野県もしっかり離脱を決め話題を集めていますが、国よりも県民のプライバシ−を優先し、審議会の意見に従った知事の判断は正しいと私は考えます。
 しかし、セキュリティの問題よりも何よりも 私が疑問に思いますことは、ウシやウマでもあるまいに全国民に一元的に11桁の番号をふるという根本的な人権侵害の問題です。
 国や権力が常に個人を支配しようというのは治める側の理屈であり、「主権在民」の憲法から逸脱しています。自由で民主的な日本で一体なぜ住基ネットが必要なのでしょうか? 深刻な大問題だと思います。
 韓国では兵役のために役立つように、あるいは、国民管理体制づくりのため13桁のいわば国民総背番号制が取られ、10指の指紋や兵役事項、特殊技術など141項目について警察が自由にアクセスできるようにされてしまっています。国にとっては便利この上ない手法です。
 ヒットラ−も1933年、IBMから情報を買いユダヤ人を選別・虐殺しました。
 ホロコ−ストの悲劇につながった人間に番号をつける発想に対して私は怒りを覚えます。収容所で多くの兵隊の前をすっ裸で歩かされていたユダヤ人の女性の姿、尻に番号を受たれてガス室で殺されていった人々のことを写真などで見て、親からもらった『名前』という大切なアイデンティティがあるのにもかかわらず、個人の尊厳を国家が侵害し、人間性を奪う数字化の強制はなんびとに対しても絶対に許してはならないと私は考えます。
 日本の今は大丈夫でも、いつなんどき「有事」とリンクする首相が登場するかもしれません。
 あのヒットラ−も合法的に選挙で選ばれたのですから有事法制のできた今日、歴史の教訓に学ぶことの大切さを痛感しています。
 住基ネットに初期の構築費用400億円、その後の毎年のメンテナンスに200億円もかかるのです。コンビニでいつでも住民票がとれる便利な時代なのになぜ?と思います。
 国に「住民票の広域交付が可能」だからと言われても、うさん臭く、全くのムダ使いだと思います。

 質問として、京都市では2億円もかけるとのことですが、当市ではこの住基ネットにいくらかかりましたか? 今後のメンテナンスには毎年いくらかかりますか?
 住基ネットのメリットとデメリットは何ですか?
 市民は住基ネットについて「余りよく分からない」とおっしゃる方が多いです。
 広報でカ−ドを500円で買うよう宣伝しておられますが、例えば、闇金から追われている方やDVで夫から逃げている方の人権はどうなりますか?被害者追跡に使われたらどうしますか? まさか、法の第51条「届出をしない場合5万円以下の過料」とあるような罰則をとらないと思いますが、いかがでしょうか?
 スピ−ディをモット−にされている市長は高槻市のように個人情報保護条例をつくり「電子計算組織の統合の制限」を規定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 この中には、市民の基本的人権が侵害される場合すみやかに必要な措置がとれるよう明記されています。市独自の判断で切断できる条例はぜひとも必要です。
 また、向日市住基ネットシステムセキュリティ規程には外部委託を承認していますが、とんでもないことだと思います。市職員で対応するのが常識だと思います。
 いかがお考えでしょうか。
 よくいわれる本人以外の人が不正を行なう「なりすまし」の恐れもありますので、有名な映画「インタ−ネット」の恐怖が現実味を帯びてきた今日、市当局の住基離脱の勇断を期待いたしますが、いかがでしょうか?

■自治体改革 ロ−カル・マニフェストにとりくむことについて

 21世紀は「財政再建」と「まちづくり」のために、これまでの発想を転換し、市民公募の審議会や市民集会によって実行ある「総合計画」や「実施計画」「行動計画」「長期計画」にしていく時代となりました。
 選挙時の単なるスロ−ガン的な公約では、数値目標や予算の裏付けがなく、実際のところトップが変わっても旧態依然として声の大きい人が、地元への利益誘導で幅をきかすという図式から一歩もぬけれない場合が多いと思います。
 1834年にイギリスのタワ−ズ首相が選挙時に配付した「タワ−ズマニフェスト」の考え方が今日、日本でも急速に広がってきました。
 高槻市は既に27年前から市民の手で創る市民会議構想がスタ−トしており、「総合計画審議会」に先立って先ず市民の意見を聞く「市民集会」が行なわれました。
 そして、これまでの「努める」「図る」「建てる」「造る」という抽象的計画では、市民の理解が得られないという審議会委員の共通認識により「計画が達成されなかった原因を明らかにする」「それを次の計画に生かす」ということが決められました。「計画が達成されなかった原因」について。・計画そのものが誤りであったこと。・計画を実践しなかった主体に問題があったこと。・計画以後に社会・経済状況が予測の範囲から大きく変わったことの 何れかである。・・・・として、そのため計画は具体的でなければならない。数値表現こそが誰にでもわかる具体性であることが共通認識となっている、とのことです。
 この目標に従って、政策推進室は基準人口推計表を、また、市財政担当部は財政収支資産表をつくり、5年間は財政再建に、15年間で都市整備をすることとし、市を5ブロックに分けて施設等の配置を進めてこられました。今日この総合計画は100%達成されたとのことで、まさしく「ロ−カル・マニフェスト」の実践であったわけです。目標が明確であったため、市役所全体がしっかりと行政目標に具体的に取り組めたことが何にも増して成果があったと、元政策推進室長は述べておられます。
 質問として、これまでのタテ割行政や区制度のしばりや「在所」とかいう古い人間関係のしがらみから向日市も解放され、例えば6つの校区でブロック分けを行い、5万3千市民のニ−ズに合った自治体運営にとりくむべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。
 次に、ロ−カル・マニフェストの原点は「市民集会」で成功したのは市民の市政への関心が広がったためだともいわれています。
 2番目の質問として市長はこのロ−カル・マニフェストについて、また、市民集会について、どのようにお考えでしょうか、お伺いします。
 ところで市長は、タウンミ−ティングを5回続けられましたが、傍聴させていただき、疑問に思う点があります。
 「市民の声を聞く」というよりは「市民に市長の話を聞かせる」ということが優先され、司会、説明ほとんど仕切っておられる市長はテ−ブルの中央に座り、対話というより個人演説会のような感じでした。また、市民会館では傍聴者には資料もわずかで「12ペ−ジを開いてください」といわれても、そんな資料は配付されていず、クレ−ムがついて職員があわててコピ−を作成し、持ってきてくれたのですが、すでに話はわからなくなってしまっていて、その上、私でも聞こえない声でやっておられたので10名ほどの傍聴者の中で帰った人もありました。とにかく、わずか8名の代表者だけと話をすることをタウンミ−ティングというのはどうかなあと思います。
 その8名の方も市長はよくご存じの方のようで、市長が親しくお名前を指名しておられるのを見ると、もっと普段に会っていない市民とゆっくり話をされた方がよいのではないかと思いました。先日はとうとう代表者の方が我々傍聴者の方に気を使って下さって「皆さん聞こえますか?」とおっしゃったので、皆が「聞こえません!」といったのに何ら改善されず、仕方なく私語を交わしておられる様子でした。
 質問として、市長は傍聴者に聞こえないタウンミ−ティングをしたことや、わずか10名程の傍聴者であったにもかかわらず資料を用意しておかなかったことについて、どうお考えになりますか?、 不親切だと思いませんか?
 次に、市長は区長や社協の会長といった方々とのミ−ティングを最優先されましたが、今後のスケジュ−ルはどのようにされるのでしょうか? 民秋市長は、自ら駅前に出向く「たそがれ市民相談」や「市政モニタ−制度」を実践され、たった一人の意見でも耳を傾け尊重されました。岡崎市長もコミセン等で多くの市民の参加を呼びかけられ参加者全員に意見を自由に発言できるようにしておられました。久嶋市長になって、少数の代表者のみで、つまらなくなりました。先日も、女性の傍聴者が手をあげて発言を求められたのに、発言させないというお役所的な対応をしておられました。以前より、堅苦しくなり、市民参加が後退していくのは残念です。
 市長に意見を述べたい市民と直接会うためガラス張りの市長室をつくられてはどうでしょうか?
 また、この頃他市の市長が市民と同じ目線で汗をかいてがんばっている市民派が増え、公用車を廃止し、普通車にされていることはとても立派なことだと私は思います。一般市民より高級な車に乗ること、特に、あの黒塗りの車は感じが悪いと思います。何でも横並びの日本ですが、市民のことを大切に考える市政の手始めとして公用車を普通車にしてほしいと思いますが、いかがでしょうか?
 20年ほど前に私が京都新聞の記者の方にすすめられて市政モニタ−をさせていただいていた頃、向日市で大きな汚職事件がありましたので、市政モニタ−って大事な役割があるのだと知りました。どうして近年、「市政モニタ−制度」をやめてしまったのでしょうか?
 市民を監視する「住基ネット」はやっても、市民に行政内部を監視されたくないというのは、納税者を愚ろうすることですから早急に「市政モニタ−制度」を復活してほしいが、どうか?
 市民パワ−、人材発掘のため、良い意見・提案を市政に活かすため気軽に個々の市民が話せる「市民懇話会」を時間帯も夜や休日に設定していくなかで、各公民館、コミセン等を活用して行ってほしいが、どうか?

■DV・スト−カ−行為から市民を守る対策強化について

 京都府女性総合センタ−は四月から「DV(配偶者や恋人からの暴力)サポ−トライン」という相談窓口を開設されました。七月までの四ヵ月で264件の相談があり、前年と比べて77.1%も増えたとのことです。
 住基ネットがスタ−トして一番恐れていらっしゃる方々がDV被害者ではないかと私は考えます。
 関東ではスト−カ−行為等の被害者に対し「住民票の写し等の交付を停止する特例に関する要綱・要領」(大田区)を作成したり、杉並、江戸川、練馬、立川、三鷹、小金井、国分寺、国立、八王子市などで「スト−カ−行為等に対する住民基本台帳事務に関わる支援に関する要綱」が作成されています。八王子市のものを資料として添付いたしましたが、向日市ではどのようになっているのかお伺いします。
 また、京都府は全国に比べて「男女平等条例」が遅れている保守的な、ようするに人権対策が不足している地域です。
 近畿の中でも滋賀県や奈良県は2年前、大阪府、兵庫県、和歌山県では昨年男女共同 参画の条例ができているのにいったい京都府はどうして駄目なのでしょうか?そんな中、府内市町村で2件、自ら条例をつくっているところもあるのがうれしいですが、向日市もしっかり自立して、当市の条例をつくることを考えてはいかがでしょうか?そのことが京都府下の苦しんでいる女性たちを救い、すべての府民の幸せを守ることにつながると思いますが、いかがでしょうか?
 スウェ−デンでは「パパ・クウォ−タ−制」(父親への割当制)の導入で、男性に八割の賃金保障をして育休取得はあたりまえになっています。
 日本も男女とも一人ひとりが自立する力を持ち、助け合うシステムを確立すればDVやスト−カ−に泣く人も減り、ひいては少子化対策を進めることになります。
 条例化を急いでいただきたくご見解を問います。